C-12 立体-生活

毎日の生活の中の楽しさ、日常をていねいに暮らすおもしろさ、それを造形表現を通じて体験していくカテゴリーが「生活」です

最近までクラフト=工芸と呼んでいました。工芸というと非常にストイックな世界になりますが、もう少し課題の内容の幅を広げ、生活を手仕事で彩ることをねらいとした工作、という意味で「生活」という呼び方に変更しました。おうちで使えるもの、生活のいろいろな場面や、季節の行事をテーマにした工作のカテゴリーです。

これぞ工芸、という課題が「紙ヒモで作るなべしき」です。

こちらは紙バンドを使っています。素材は紙ですが実際に使うことができ、強度もしっかりあります。「おばあちゃんにあげて喜ばれた」とか、4年ほど前のものを「まだウチで使ってるよ」という声も聞こえます。デザインもいろいろ考えられて楽しい…のですが、やっぱりこどもにとっては地味なテーマ。「なべしき…???」テンション低めです。工作としても根気のいる作業ですので、飽きてしまう子もやっぱりいます。好きな子は小さい年齢でも驚くほどの集中力を見せてくれるのですが…。万人に受けるとはいかないようです。

みんなが楽しめることを考えると、季節の行事の工作などは人気が高いテーマになります。

こどもたちの大好きなクリスマス。工作していてもみんな楽しそうです。生活の中でもいろいろなメディアでたくさん見ているだけに、デザインもバリエーション豊かです。

季節の行事以外でも、こどもたちが日頃からなじんでいる家の中のアイテムは、考えやすいかな、ということでいろいろ題材として取り上げています。壁掛け型の「時計」です。それぞれの個性が出やすく、グラフィックデザイン的なアプローチ、絵画的なアプローチ、レリーフにしても良く、自由に考えていくことができます。

こちらは「ハンガー」です。日頃地味な存在のハンガーですが、こどもたちのアイディアで、こんなに楽しいデザインが生まれました。

光を使う工作も楽しいので、数年おきに実施しています。小さな置き型のライトです。こういう「使う」前提の工作では、機能面をどう考えるか、がひとつのポイントです。下のライトの課題では、下からのアッパーの光を、どう上に持って行くか、どう見せるかを考えて材料を組み合わせていくわけですが、工作の勢いによっては、いろいろ作りすぎて光をさえぎってしまうこともあります。ハンガーも同じで、もりもりと作った結果、ハンガーとしては使えなくなることも…。でも、それもこどもの工作らしくて、楽しいではありませんか。

こちらはファッションデザインです。いろいろな色のビニールの素材を使って、自由に作りました。こちらは女の子のテンションが高めで、ギャザーを寄せたスカートを作るツワモノもいるくらいなのですが、男子は男子で、様々な小道具まで作って世界観を楽しんでいます。

最後にご紹介するのは、「身近な人におくるトロフィー」です。家族や仲間、自分自身も含めて、がんばっているね、やありがとう!の気持ちをこどもたちに表現してもらいました。トロフィーという概念が難しいかな?と心配しましたが、みんな意外とよく知っています。こどもたちが家族をどれほどたいせつに思っているか、講師たちもじーんとするような、すてきなトロフィーがたくさん生まれました。

毎日の生活の中の楽しさ、日常をていねいに暮らすおもしろさ、それを造形表現を通じて体験していくカテゴリーが「生活」です。ちょっと地味な工作だったりすることもありますが、これからも生活の中のあれこれを色々掘り起こし、楽しい工作にしていきたいなと思います。

体験する