C-11平面-おえかき技法

おえかきの技法を習得することは,表現の幅をひろげます。

平面の造形表現には、絵を描く以外にも様々な技法があります。これはいろいろな技法に親しもうというカテゴリーです。技法は音楽でいうなら楽器にあたるものでしょうか。音楽をする人々は、様々な楽器の中から、自分にしっくりくるものを選ぶ。選ぶ楽器によって、その人の中から表れてくる音楽もまた違ったものになる。こどもの時代に様々な技法に触れるのは、興味深く楽しいことだと思いますし、また将来自分に合う技法を探していく際の一助になるのではないかと考えています。それぞれの技法の世界には、それぞれならではのおもしろさと難しさがあることを体験してみてほしいと思います。

実施した課題をいくつかご紹介していきましょう。

「モザイク画」です。

こどもにも簡単に割れるプラスチックのモザイクです。パキパキと割ってそれを貼って形を作っていくのは楽しい作業です。モザイクならではの隙間のある色面が、ざっくりと力強い表現につながっています。

こちらは同じように色の素材を貼る技法、「ちぎり絵」です。薄い和紙を貼った表現は、またモザイクと違った優しさとたおやかさがあります。透けた和紙の色、ちぎれた紙の毛羽も、繊細です。重ねることで色を濃くできたり、中にはちぎった和紙を丸めて貼る子も見られるなど、柔らかい紙を生かした作品が生まれました。

いつもと同じ絵の具でも、技法のフィルターでいつもと違う表現をつくる課題もあります。こちらは「点描画」です。

印象派でおなじみの点描ですが、いつもは筆でぱ〜っと塗っているところも、ひとつひとつ点を置いていく地味な作業です。何でこんなことを?という子もいれば、点を置くくりかえしの作業を楽しんでいる子もある課題です。点は大小の道具を用意しています。

これに似た課題として、スタンプを使った技法の課題がこちら、「スポンジスタンプ」。スポンジを自分で好きな形にするのが楽しいポイント。サカナの群れなどもすぐできてしまいます。

こちらは「スクラッチ画」。白い紙に描くいつもの絵と反対に、黒い画面から白い線を掘り出していく作業です。

こういう課題はけっこう「くたびれた〜」となってしまう子もありますが、反転する白黒のおもしろさや、黒い面からの発想で、いつもとちょっと違う雰囲気の世界が生まれたりする効果もあるようです。

白黒の反転と言えば王道はやはり版画です。図工ランドでは、小さい子から小6まで同じクラスで同じ課題をするため、彫刻刀を使う版画はしませんが、版画の課題は、1年に1回はやりたいね、ということで実施しています。

こちらは基本の「紙版画」です。

紙を切って貼ることで段差を作る版画ですが、様々なテクスチュアの素材やヒモなども使うことで、おもしろい表現がうまれます。柔らかいスチレンペーパーに線を彫ることもできます。白と黒だけのストイックな世界ですが、何とも幻想的です。紙のまわりに生まれる白くほわっとした部分が、木版とは違った味わいです。

版画は毎年実施するため、いろいろなやりかたを試しています。この年は、刷る台紙にあらかじめ色を塗っておく方法でしてみました。

色の効果で華やかです。偶然か意図的かは様々ですが、色と刷りがうまく呼応していたり、逆に図と色のギャップがおもしろさを生んだりしています。

それでも版画に色をつけるならやはりこれ、「裏手彩色」です。

白い部分から色がにじみ出る美しさ。刷ったものに色をのせていくので、ここはこの色、ということが自由にでき、作者の意図を色が補強する良さがあります。中には黒を塗って、彫った線を消してしまうという豪傑が表れることもありますが…。

こどもたちができる技法、ということで制約もありますが、その中でできる限り色々な技法に触れてもらいたいと考えています。版画っておもしろいな、とか、私はモザイク画が好きだなとか、体験してみなければ感じられない発見を、どんどんしていってほしいと思います。

 

 

 

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