C-02 立体の基礎造形

カリキュラム編のカテゴリートップバッターは立体の基礎造形。

幾何学的な面白さ,形の成り立ちなどを,実際に手でつくって体感する。

線材,面材,直方体・・など,毎回異なる種類と基本形の材料を扱います。立体の「かたち」をデザインする,モダンデザインの基本作法を身につけることをねらいとしています。

「○○を組み合わせて、好きな形を作りましょう」という、とても簡単で奥の深い、図工ランドならではのカリキュラムです。大学レベルのテーマを子どもでも出来るようにしているつもりで,前のエントリーにも紹介したバウハウス的なカテゴリーです。

もとになる「○○」をひとつのユニット(単位)として、形を組み上げていきます。ユニットの形や素材は様々。それを組み合わせるルールもそのつど設定します。

図工ランドではいくら綺麗な工作でもプラモデル的な,みんなが同じ形になる工作はNGとしています。一定の枠やルールの中で,それぞれの人の創意工夫ができる課題づくりを心がけています。ひとつのユニット、ひとつのルールでも、できあがる形は様々に展開していきます。自分で立体を作りながら、その形のなりたちについて理解を深め、純粋な形の美しさ、おもしろさを追求します。

本来はアブストラクト(抽象)の形を想定していますが,そこは子どもたちの工作です。具象的な何かの形になっても,楽しく工作してもらえばOKです。

例えば綿棒工作。

色も真っ白のみ、長さも形も同じというストイックさ。この綿棒を、どんどんつなげて、いろいろな形ができていきます。CGのワイヤーフレームのようで、おもしろいですね。作り方によっては,建築の大屋根などに用いられているスペースフレーム構造にもなります。

同じ線材でも、ストローを使うと、長さは自分で切ってアレンジすることができるので、また変化のある形ができます。

幾何学的な規則性のある形の美しさは、年齢を問わず、みんなの心を惹きつけるようです。

小さな直方体を使って、タワーを作ろうという課題もありました。

カプラやレゴの遊びの感覚にも近いでしょうか。みんなステキな形を作りますね。中には自分の背よりも高いタワーを作ってしまう子もいます。(その後、持って帰れる大きさで作ろう、が図工ランドのお約束になりました。)それぞれの子が自然に自分のルールを作って、美しい繰り返しができています。

つい最近の課題では、紙を折ったり丸めたりして、小さなユニットをそれぞれに作り、組み立てる課題もありました。ユニットの形を自由に設定できるので、できあがる形も幅が広くなります。

お正月気分の赤と白が華やかです。水引も加えたので、「現代の正月飾り」という感じもありますね。

紙でユニットを作る課題にもいろいろな種類があります。こちらは色が楽しいカラー工作用紙を作ったカクカク工作。

この課題では、紙の帯を折ることで、三角柱、四角柱、五角柱、六角柱を作り、それらをつなげていきました。正十二面体、正二十面体、またサッカーボールの五角形と六角形を組み合わせた形なども、みんないったんルールをのみこむと、どんどん作っていきます。大人でも油断するといびつな形になってしまうのですが、最後まで作り上げたときの達成感、こどもたちの笑顔は格別で、自信につながっていきます。

こちらはちょっと変わった形のユニット。図工ランドで「三角ユニット」と呼んでいる、細長い四面体を使った立体構成です。各面が三角なので、三角ユニットと呼んでいますが、立体としては四面体。この形はその昔、代表の木村明彦が藝大の建築科を受験した際に作り出し、これで入試を突破した(?)という、たいへんにおめでたい縁起を持つユニットです。短い辺どうし、長い辺どうしをつなげる、ということだけがルールです。

こういう形は、頭で考えていてもなかなかイメージしにくいのですが、手を動かして組み合わせていくことで、自分でも驚くような造形が生まれたりします。まさに「手で考える」。この三角ユニットでは、くるんとひっくり返すと形の変わるような立体ができたり、ヘビのようにくねくね動かせたり、いろいろおもしろいのですが、これも実際に作って、動かしてみないとできない体験です。

これら立体の基礎造形の課題は、どれもかなり根気と集中力が必要です。ところが、小さい子も含めてもくもくと長時間集中し続ける様子が見られて、大人を驚かせます。考える力のある大きい子は、様々な規則性を作り出そうと自分なりにくふうしますし、小さい子は勘と気合いで作っていきます。最後の発表の際には、できた形の多様性に、互いに感心しきりです。

予想を超えていく形のおもしろさに、講師たちも毎回新しい発見のあるカテゴリーなのでした。これからもさらにいろいろなユニットを用意して、こどもたちの形を作り出す力をさらに掘り起こしていきたいと思います。

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