太陽と月がめぐる「私だけのドア」
成田空港の近くに新築された、JALの社員のための集合住宅です。中庭を囲んで一人用の居室がずらりと並んだ空間構成は、無機質な「未来型牢獄」に見えてしまう危険をはらんでいました。建築設計者から、居室ドアへのサインによって、空間を演出したいという希望が示されました。630室のアノニマスなドアの列を、ひとつひとつが他と違い、住む人が愛着をもてるもの、そして表情があるものにしていこうという試みです。
検討の結果、JALのコーポレートカラーの「赤」黒」「銀」の3色を用い、シエールグラン(仏語で「大空」)のモチーフである太陽と月を用いることになりました。
満ち欠けを繰り返す月、季節によって大きさと高度を変える太陽の列を、ドアの並びの上に配置しています。廊下を歩いて行くにつれて、少しずつ変化する太陽や月が、均質な空間を意味性のある場所に変えていきます。
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